- HOUSEUM -
住宅でありながら、美術館のような建築が求められたことから、HOUSEUM（ハウジアム）というコンセプトが生まれた。敷地は大阪府内の都市部にあり、マンションや３階建の住宅に囲まれている。敷地以南に関してはほとんどの建物が、日影計算が不要となる高さ１０ｍ以下で建築されていることと、周囲から覗かれず、生活感も出したくないクライアントのご要望を踏まえ、南に位置する重要文化財の寺が残り続ける事も考慮しつつ様々な角度から高さ１０ｍの視点で内部が見えないよう断面を検討し、コの字型の建物ボリュームや壁を用いてカーテンの要らないコートハウスを計画した。敷地は準防火地域でもあるため、主要な窓が延焼ラインから外れるように中庭を設け、その中庭を中心として居住空間を配置した。道路側は生活感が出ないよう外構も含めて水平ラインが綺麗な壁を残し、樹木のキャンバスとして機能させ、街並みに貢献出来るようにした。内部空間はノイズとなる枠や巾木等が目立たないようディティールまでこだわり抜いて設計。広い玄関から細く薄暗い廊下を抜けた先に、外部からは想像出来ない空と光に包まれた開放的な空間へ続くシークエンスを用意した。２階のホールは南の中庭と北の坪庭という、大きさや光の入り方の異なる２つの外部空間と繋がる居場所であり、子供たちの遊び場となっている。また物が溢れないようシューズクローク、ファミリークローゼット、パントリー、家事室等のバックヤードも動線を含めて入念に計画した。非常時には大容量のソーラーと蓄電池も生活を支える要素となる。日々移ろう光と影が空間に豊かな表情を与えている。周囲の喧噪を忘れ、静謐な空間と共に暮らすHOUSEUMが完成した。