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- オフィスム -

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BEFORE

 

 

 

 

 

撮影 笹の倉舎/笹倉洋平

苦楽園の地に「住めるオフィス」を計画した。築30年RC造3階建ビルの賃貸リノベーションである。建物の履歴を調べてみると、当初水回りの備わった住宅として利用されていた一方で、阪急苦楽園口駅徒歩1分という立地からオフィスとして使われていた経歴もあり、そのポリバレントな性格を組み合わせ、「住む事」と「働く事」を融合させる建築を目指した。また、住宅の中にワークスペースがある、という捉え方ではなく、「オフィスに住んでいる」という逆の発想で、住まいよりもオフィスとしての比重を重視して設計することにした。今回は建物が螺旋階段を中心とした樹木のような立体的構成だった事や、苦楽園が明治までは森であった歴史も踏襲し、木にまつわる自然のカラー(土、光、花、葉、水、木)を用いて全体をデザイン。メインのアトリエは天井のコンクリート、鋼製配管やレンジフードのメタル等ハードな素材を使いつつ、リフォーム用の無垢床、本棚・キッチンのアピトン合板や天板のモールテックス等、木や土っぽさを感じさせるソフトな素材で包み、それぞれの素材が対比され、活きるよう配慮している。建物の中心となる幹の螺旋部は、1階から3階まで画家に壁画を描いてもらい、ぐるぐると上にあがる事を動的のみならず視覚的にも楽しめる立体絵巻物のようにした。企業のサテライトオフィス、自営業のSOHOとしてだけでなく、サラリーマンや公務員の在宅ワークスペース、カップルや友人でシェアし働きつつ住んでみる、等様々な賃貸方法が可能となる。「働く」に「住む」が付属した建物を、私は「オフィスム」と名付けた。