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2020.08.22 ピック&ロール

京都大学の教授だった竹山聖さんの庭という本にバスケのことが書かれていた。
最近はNBAもBリーグもピック&ロールが主流になっている。
ピック&ロールはオフェンスがボールを持っている仲間の相手ディフェンスの前に立って邪魔をして壁になり、
ボールを持っている味方オフェンスにドリブルでゴールに切り込んでもらう作戦。
壁となる人は動くとファールになるので、
高さよりも100キロの荷重がかかっても微動だにしない強靭な壁である必要がある。
極めて平面的で強度が必要とされる壁。
味方スクリーンのおかげでカットインしたオフェンスは次にやってくる相手センターのカバーディフェンスをクリアしてシュートを狙う。
味方オフェンスが仕掛けてくれた動かない壁とは違い、
今度はディフェンス側の可動式の壁。
守る相手からしてみればシュートを少しでもブロック出来ればゴールを外すことが可能となる。
ここではXYZ方向に瞬時に動きピンポイントでブロックを狙えるスピードとしなやかさが求められる。
仲間の壁を活かし、相手の壁をかわしつつゴールを目指すのがバスケ。
そこに感動が生まれる。
こういう一連のシークエンスや空間体験はまるで建築を体験するのと同じではないかと思う。
フリーなレイアップシュートがたいして盛り上がらないのは、
壁を潜り抜けたり、境界を破るような驚きや感動が無いからである。
バスケットを見ながらも、自分は空間を感じている。
プレイヤーが動くことで刻々と変化し、一瞬で無くなってしまう隙間やズレ、歪みの空間を。
自分がドリブルすることで変化する空間の疎密を瞬時に判断し、点も取れるがパスもさばけるプレーは見てて面白い。
そういう他者との関係をも上手く活かした建築が創れたらいいなと思う。
でも、実はそれが一番難しい。
圧倒的な経験が必要だし、自分の世界観の中だけで完結しないのは、
一つの建築として統合するために様々な労力がかかるから。
でも、きっとこれから必要とされる建築家像ってこっち側だと信じている。
中高6年バスケに没頭してたことが、今となっては建築家になるための下地となったのかもしれないし、
ドリブルで切り込んでシュートを狙いパスをさばく、という自分の一番好きだったプレーが
自分の建築の創り方にさえ影響を与えているのではないかと感じることがある。