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2017.09.15 大工工事

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須磨のお家は窓際に7m超えのカウンターと間接照明が設置されつつあります。

お客様とお会いした時からご夫婦が仕事の後にここでくつろぐイメージを持っていました。

LDKというシンプルなI形の三つの居場所に対して直交して居場所のレイヤーを重ねて多様な場が生まれるよう試みています。

右側がカウンタースペース、左側は1帖の居場所とし、薄い境界面から境界層に変換して厚みを持たせています。

また天井を下げたり床を上げたりすることで心理的に発生する見えない境界の強度を調整しています。

ここでは見えない境界のほうを強く意識して設計していて、見えない膜のようなものを想像しながら図面を書きました。

膜は、心の中に感じること、その先にある風景を見て視線で破ること、実際に動いて破ること、等で人は空間の楽しさを自然と感じているものと思っています。

層となった場合も同様ですね。このあたりは建築を作りながら自分のバリエーションを増やしていきたいです。

リビングの奥の壁は夕日があたる壁なので、オレンジ色のタイルを貼ります。

キッチンの腰壁には空や海の青色のタイル貼り、床は木の茶色が。

この眺望から見える地球の色をインテリアに取り込む計画です。

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ここが1帖の居場所で床が上がっていてベンチ代わりにもなります。ここに座れば空が見える特等席です。

LDKに直交して3層居場所のレイヤーをかけたので、外との距離感も3段階存在させて、限られた空間ながらもお得感が生まれたらいいなと。

どう使ってもいいような余白が家の豊かさや楽しさを増幅させてくれると思っていて、私の設計する建築にはいつもこういう場があります。

ベンチ下はコロコロのついた引き出し収納を入れて、ブランケット等収納できるようにしていきます。

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右側のカウンターは通常であれば厚さが3センチ程度ですが、敢えて框を付けて厚みを持たせ、天板には床材を貼っていきます。

外の風景をより特別な空間とするためには3センチでは少し物足りないと思っています。

框の厚みがちょうど奥に貼るタイル2枚分になっていて、窓の高さ、間接照明の高さ、居場所の高さや框もタイル割から寸法を決めていきました。

窓の高さは申請にも関わるので、インテリアから外装にフィードバックされてくる逆走状態はなかなか手間がかかるけど面白い現象ですね。

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トイレは和の空間で設えます。

収納付きのカウンターを造作で作り、足元には黒い玉砂利を敷き、カウンター上の壁面はこの家のために作ってもらった特注色の塗り壁にして照明で照らします。

玉砂利を敷くスペースは2階ですから、通常下地に24mmの合板を貼って構造上の水平構面を確保していくのですが、玉砂利のためにしっかり深さが欲しいのでここだけ吹抜扱いにして9mmの合板にしています。玉砂利の隙間から合板の色が見えると良くないので、後でこの底の部分も黒く塗装します。

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書斎の収納はラワン合板でコストダウンしつつご主人の秘密基地のようにしていきます。

左側の一部はラワンフラッシュの扉付きにして、足元はタイルがきます。塗装もこれからです。

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現場チェックの最後はクローゼットのパイプ位置を実際にハンガーをもってきて調整してきました。

このあたりは機能を満たしつつ、少しでも綺麗に見えるよう寸法を合わせてきました。

これからまだまだ難しい工事(特に子供部屋の上下で使い分ける2段ベッド)がありますが、完成が楽しみになってきました。