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2017.07.07 京都で

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京都国立近代美術館にで「技を極める」展に行きました。
フランスや日本のジュエリーやその製作過程を観れ、超絶技巧を体感できる展示となっています。
精緻な展示品や映像も含め、とても心躍る内容で、物つくりや宝石が好きな人にはお勧めです。
一方で僕は展示方法と、それが偶然生み出す現象に最も興味を持ちました。
真っ暗な空間のガラス張りの中にジュエリーがあるわけですが、上部からの照明の影響で、ジュエリーがガラスに反射し、バーチャルなジュエリーが反対側にくっきりと浮かび上がって見えるのです。
つまり、裏から見ていると鑑賞者があたかも数億もしそうなジュエリーをまとっているように見えるのです。
リアルな人間が知らず知らずの内に、仮想のジュエリーを身に着けて、本物のジュエリーを眺めるという不思議な現象。
鑑賞者は気付かぬうちにどこかの国の女王様のごとく、仮装し、参加型アート展へと変貌するのです。
そうなると、ティアラは女性の頭の高さに、イヤリングは耳の高さに、ネックレスは首の高さに、ブローチは胸の高さに展示されていれば、その不思議な現象が際立っただろうなと思考するのです。
リアルとバーチャルについては建築の空間で自分自身が常に意識をしている部分ではあるのですが、このように人とバーチャルが偶然にも融合してしまう現象を発見すると、何か自分自身の空間の考え方を深めてくれるきっかけにもなりそうで、とてもテンションが上がりました。