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- 軌跡の家 -

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影 笹の倉舎/笹倉洋平

伊丹市内における分譲地での計画である。ご家族は周囲からの視線が入らず、カーテンの要らない暮らしを望まれた。一方で、周辺は住宅や電線、マンションに囲われて交通量も多い場所だった。空を見上げると、伊丹空港から飛び立った飛行機が旋回し、ちょうど敷地の上空を通過していく。その様子を眺めているうちに、飛行の軌跡とシンクロするような、南へ向けて緩く傾斜して上がっていく屋根を架けることを思い付いた。唯一、電線や建築物が見えず、外から見られる事の無い北の空へ向けて開口を取るためである。メインの生活スペースとなるLDKや書斎をプライバシーが確保された2階に配置し、ご家族の居室と水回りを1階に据えた。空と飛行機だけが見える天窓からは、季節、天候、時間によって刻々と様態とポジションを変えながら、陽のカケラがやって来る。つまり、太陽の軌跡を映す家である。飛行機の軌跡が住宅のフォルムを生み、太陽の軌跡が空間を生み出す建築となった。