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2017.04.07 見える境界と見えない境界

10年くらい前から、ずっと見える境界と見えない境界を融合することに興味があった。
物理的な境界と心理的な境界を意図的に融合することで、様々な居場所を生み出せると考えているからである。
学生時代に京都の寺をたくさん見たことで、そんな感覚が自然と気になるようになったのかもしれないし、数多の本から影響を受けたからかもしれない。
どちらにせよ、見えている境界と見えていない境界は自分の中ではほぼ等価に扱う要素であることは間違いないのである。
町を歩けば、見える境界を手掛かりに、見えない境界を感知して、いつだってどんな居場所が生まれているのか考えるトレーニングが出来る。
見えない境界を意識して、見える境界を設計することもあったりするし、見えない境界だって、強弱もあれば、境界点、境界面、境界層と多元的な発展を込める事だって可能なのである。
また、その境界の中を人が動き、境界を破ることが建築の豊かなシークエンスを生み出す要素となることもある。
お客さんにはいちいち言わないけれど、そっとその種を仕込んでおいて、住んでからいつか気付いてもらえたらいいなと思う。